可睡斎の御朱印旅(遠州三山その1)

 およそお寺の名称とは思えない可睡斎。パンフレットによると、11代住職である仙麟等膳和尚が、幼い家康公とその父を武田軍との戦乱から救ったそうです。後に、浜松城主となった家康公が、報恩のために和尚を城へ招いた際、和尚がその席上で居眠りをしてしまったそうです。それを見た家康公は、安らかな親愛の心を悟って「和尚、睡る可し」(私の前で眠っても無礼ではないの意)と言い、以来、可睡和尚と愛称されるようになり、このお寺の寺号も東陽軒から可睡斎と変更したそうです。しゃれた話です。その他、秋葉寺から遷座した秋葉大権現様が祀られている御真殿など見どころ満載のお寺でした。


 車を駐車場に停めて、総門(写真②)へ。さらに進むと、立派な仁王様が居られる山門(写真③)です。お寺の規模を想像させ、ワクワクしてきます。この時はまだ可睡斎の謂れを知りませんでした。山門を抜けると正面に本堂(写真④)が、左手には六角(だと思います)の輪蔵堂(写真⑤)があります。右手には、瑞龍閣、萬松閣などが見えます。御朱印はこちらで頂くのだろうと思われます。そちらの入口側に、精進料理「ぼたん膳」がいただける、という立て看板(写真④)がありました。こちらで、昼食にしようかと思いつつ、まずは、本堂へお参りです。

写真①:可睡斎案内図


写真②:総門

写真③:山門


写真④:本堂

写真⑤:輪蔵堂


 

本堂を参拝して、左手に回ると、本殿に繋がって大黒殿とその左手、階段上に御真殿がみえます(写真⑥)。大黒殿には開運出世大黒天が祀られ家康公も信仰していたそうです。出世はともかく家内安全を祈願しました。そして、階段を上がって御真殿(写真⑦)へ。御真殿には、秋葉三尺坊大権現様の御真躰が祀らているそうす。もともとは、秋葉山秋葉寺にお祀りされていたそうですが明治6年に廃寺となり、御真躰が可睡斎の御真殿に奉安されたそうです。御真殿内部(写真⑧)は山岳信仰を思わせる天狗さんがいらっしゃいます。こちらでは、わが家の火防を祈願しました。

写真⑥:大黒殿と御真殿


写真⑦:御真殿

写真⑧:御真殿


 

そして、本殿裏手の奥之院へ向かう。その途中、可睡斎の屋根(写真⑨)が綺麗でした。こういうのを「甍の波」というのでしょうか?登りきると、「家康公出世六の字穴」(写真⑩)という旧跡があります。家康公が、ここに隠れて命を拾ったとされ、後に家康公が出世したので、そのような名称になったそうです。そのそばに、「活人剣」(写真⑪)という史跡もあります。日清戦争後の講和条約に訪れた李鴻章が暴漢に襲われた際、軍医総監、佐藤博士が命を救い、その感謝の意を伝えた文言が刻まれているそうです。写真⑪の史跡は土台しか残っていません。剣を乗せた原型に復元された碑が、最近、輪蔵堂の裏手に再興されたそうですが見逃しました、残念!

 

写真⑨:甍の波


写真⑩:家康公出世六の字穴

写真⑪:活人剣


写真⑫:奥之院

 

活人剣は「人を生(活)かすための剣」の意だそうです。李鴻章が佐藤軍医に、「医者には剣は必要ないでしょう」と問いかけた際に、そう答えたそうです。

 

そして、奥之院(写真⑫)を参拝し、本堂広場へ戻る。写真⑬は、位牌堂、写真⑭は僧堂(座禅堂)だそうです。一通り、境内を拝見したので、御朱印をいただきに総受付へ。

 


写真⑬:位牌堂

写真⑭:僧堂(座禅堂)


 

総受付で御朱印を3種類いただき、精進料理をお願いしました。精進料理をいただくと、可睡斎内部の拝観が無料となるそうで、お得感を感じながら内部へ。まずは、精進料理を食べるために大広間に案内されました。私のほかに、夫婦が1組、食べ終わるところでした。しばらくして、御膳(写真⑮)が運ばれてきました。時間も昼時を過ぎていたので、大広間で私一人で食することに。今朝、ホテルでお腹いっぱい食べたにもかかわらず、美味しくいただきました。さて、内部拝観しましょう!ということで順路通(写真⑯)りに歩き始める。写真で紹介できないのが残念ですが、大東司(お手洗い)が素敵でした。昭和12年に建築された水洗式トイレだそうです。修行僧さんたちが、毎日掃除しているのでしょうね。とても広くて綺麗です。位牌堂や僧堂(座禅堂)とは地下で繋がっています。拝観順路は、素敵な空間でした。

写真⑮:精進料理の御膳


写真⑰:拝観順路

 

時間の都合で、速足の参拝でしたが、本来なら、半日は必要かもしれません。可睡斎の意味も分かったし、御真殿で秋葉大権現様もお参りできたし、美味しい御膳もいただきました。いい御朱印旅でした。

 

本日の御朱印旅

行興寺→府八幡宮→矢奈比賣神社・霊犬神社→医王寺→可睡斎→油山寺→尊永寺・北谷寺→善福寺→大井神社

 

可睡斎(かすいさい)

山号:萬松山

所在地:袋井市久能2915-1

宗派:曹洞宗

御朱印:

(左)聖観音、御本尊

(中)秋葉総本殿

 

(右)三尺坊様